体細胞をお話するにはまず、牛乳がどのようにして母牛の体内でつくられるか？を簡単にお話ししてかからなければいけません。
母牛が妊娠・出産し我が子の健やかな成長を想い、母牛は体内で神秘的とも言える作業をこなし子牛に与える乳をつくり出すのです。その仕組みは、乳房内にある乳腺胞の乳腺細胞内で血液が乳汁となって乳管を通り、乳頭から出て来ます。
この乳房内で行なわれる作業に必要な血液の量は、生乳１kgをつくり出すのに4〜500リットルの血液が必要になり、平均で毎日12000〜15000リットルの血液が乳房内に送られるといいます。
血中の血糖は、乳房内で100倍に濃縮され、蛋白質は100倍、脂肪は60倍に濃縮されるそうです。しかし、塩分は７分の１に薄められるなど、乳房内では子牛の成長に必要なものが選別されるわけです。
母牛の大変な作業により乳がつくられる訳ですが、乳に含まれる体細胞（古くなった乳腺細胞等）は健康な牛からも排泄されます。これは人間を含め動物全てがそうであります。
ただし問題となる体細胞は乳房炎時（主に乳房からの細菌汚染などで乳房炎にかかります）に増加する白血球（主に好中球･･･細菌を捕食します）です。乳房炎になると細菌が細胞を破壊します。この時、白血球と細菌の闘いが起こっています。乳房炎で乳腺細胞が破壊されると血液成分（例えば苦みの原因となる塩分など）が乳汁中に流れ込み、そのため甘みやうまみが減少すると言われています。